超音波応用技術について

精密洗浄・ミクロ洗浄や計測・分析、さらに部材の溶着や接合など、超音波を応用した工程に、当社の超音波応用機器が活用されています。


超音波洗浄


振動素子類:電歪・磁歪(右上)

写真の振動素子(電歪又は磁歪型)を複数個、板(ステンレス板が多い)に接着して振動子(板)にします。振動子(板)の機械的共振周波数に合わせた高周波電力を発振機から供給して、強力な超音波を液中に照射しキャビテーション(空洞現象)を発生させます。


超音波は、縦波ですから照射面と平行に強弱の部分が周波数に応じて発生するため、洗える部分が限られます。スイープ(FM)をかけ、発振周波数を変化させることで洗浄ムラを少なくすることができます。また、キャビテーションは液中の気体が少ないほど(脱気すると)強くなります。


バースト(一定周期で出力をオン、オフする)運転すると、超音波によって発生する気泡が速やかに液面から外に排出することができます。当社の超音波発振機はスイープ、バースト機能を搭載しており、短時間でムラがない洗浄を実現しています。


AM-FM

FM(スイーブ)


同じ出力の場合は、発振周波数の増加とともに、キャビテーションにおいて空洞の数が直線的に増加しますが、大きさと持つエネルギーが小さくなります。


一般的に使用される28kHzや40kHzでは、28kHzの方は空洞が大きく強力で頑固な汚れや、機械加工部品の洗浄に向き、40kHzはデリケートで細かい洗浄に向いています。IC基板や半導体部品の洗浄の場合は、さらに高い周波数が必要で、微細な空洞を多く発生させ、外形複雑なワークの隅々までむらなく洗浄し、且つ機材の損傷を押さえます。


当社は、このように多様な洗浄要求に応え、28kHz、40kHzをはじめ、独自の自動追尾回路を搭載した100kHz以上の中間周波、高周波及び複数周波で発振できる超音波発振機、振動子をシリーズ化しています。


洗浄関連


液中の溶存気体が超音波の減衰と錯乱を引き起こして超音波の効力を減少させます。脱気とは、液中に溶け込んでいる気体を取り除くことを言います。超音波照射(特にバースト機能の利用)でも脱気は促進されますが、脱気した液を使用することで洗浄品質のばらつきが減少し、洗浄時間の短縮が可能になります。

また、洗浄以外の目的(めっき、浸透、乳化、分散など)でも、脱気した液が必要な場合があります。当社の真空脱気装置(TKHシリーズ)と脱気レベル計(MOT)は、独自の技術でこの要求に応えます。


水系真空脱気装置 TKH-11

炭化水素系真空脱気装置 TKH-21

脱気レベル計 MOT-100



真空(減圧)と超音波の相乗効果により、溶存ガスを素早く除去でき、脱気・脱泡・含浸・乳化・分散が効率よく行えます。真空超音波脱気装置(VSDシリーズ)、真空脱気マルチ超音波洗浄機などで、当社は、総合的な技術力を生かしソリューションを提供します。


 超音波溶着・超音波加工


超音波振動による接合面の摩擦や材料自体が受ける圧縮の繰り返しにより、その内部が発熱して温度上昇し、さらに超音波の衝撃力により材料が軟化、溶融して溶着されます。接着剤等が不要であり、また、短時間で溶着・溶接されます。プラスチックの溶着や、ICリード線のボンディングなどに用いられます。


超音波加工は、超音波振動を利用し、工具と被加工物の間を断続的に接触させます。これにより加工応力と熱の発生が減少し、精密な加工や工具の長寿命化を可能にします。


当社は、超音波溶着装置、超音波加工用電源(発振機)の開発・設計・製造技術の蓄積があり、多様な超音波エネルギーの利用法に信頼性の高い製品・サービスの提供が可能です。


高周波溶着


高周波(数十MHz)電流を流して樹脂材等の誘電体損失による発熱を応用した高周波溶着技術があります。当社ではこの高周波溶着技術を応用した医療向塩ビチューブ溶着装置や、業界で唯一高周波発生部まで内蔵したハンディ型シーラー、生産用溶着装置などを製作・提供しています。