3.医用器具の洗浄

使用済みの器具に残留している汚染を洗浄するには、通常水や物理的操作および洗剤または酵素製剤で行います。

消毒または滅菌処理前に器材から汚染等の異物を除去しておかなければ、消毒や滅菌が無効になることがある、と言われています。


各種洗浄方法について


洗浄方法は大きく分けて用手洗浄と機械洗浄の2つです。

このうち機械洗浄は超音波とウォッシャーディスインフェクターで、これらをまとめると以下の表になります。


洗浄法  方法の概要  長所/短所
用手洗浄 専用ブラシ等を用いて物理的に汚染を除去する 汚染の状況を目視しながら洗浄できる
作業者により洗浄結果にバラツキが出る
ウォッシャーディスインフェクター 噴射流が器材に当たることで汚染を除去する 熱水により消毒が行える
噴射流が当たらない部分は洗浄できない
超音波洗浄 キャビテーション作用により汚染を除去する 細部まで洗浄が行える
空気の残留する部分は洗浄できない

ウォッシャーディスインフェクターと超音波洗浄の選択について


ウォッシャーディスインフェクターは、「予洗」、「洗浄」、「すすぎ」、「熱水消毒」、「乾燥」までを一つの槽内で自動的に行う装置と2槽以上組み合わせる多槽式装置があり、前者の1槽式が普及しています。

超音波洗浄は小型から多層式までありますが、普及しているのは2槽配置し「洗浄」、「すすぎ」を自動で行うタイプです。日本では以前から超音波洗浄を使用してきましたが、近年は洗浄プラス熱水消毒が処理できるウォッシャーディスインフェクターの普及が進んでいます。


洗浄の注意点

  • 汚染の種類並びに器具の材質に見合った洗剤を使用します。
  • 洗浄方法や洗剤の選択については器材の添付文書を参照します。
  • 洗浄品質の維持、感染リスクの低減等の観点から、可能なら機械洗浄を推奨します。
  • 感染リスクを防ぐために個人防護具の着用を推奨します。
  • 器具に付着している汚染は時間の経過とともに乾燥固化し、洗浄が困難となるので出来るだけ早く洗浄することを推奨します。
  • 洗浄までに時間が経過してしまう場合は、予備洗浄スプレー洗剤を噴霧するか洗剤液の中に浸漬するなどの乾燥固化防止の対策が必要となります。
  • 定期的な洗浄評価の実施を推奨します。
  • 洗浄の前に感染リスクを低減する目的で消毒薬に浸漬することは、その後の洗浄を阻害するので、すべきではありません。