1.感染防止について(感染対策の重要性)

医療機関では、毎日多くの患者に対して処置が行われています。

通常、処置を行う側は患者の感染症情報を把握していますが、初診の患者については検査をしてないので把握出来ていませんし、初診で無くても患者が自身の感染症を正確に申告しているとは限りません。つまり患者の感染症をすべて正確に把握することは困難です。

しかし人の血液や体液を介して感染する微生物は存在するので、血液媒介病原体を含む血液や体液などが付着した針で刺傷したり、眼や鼻・口などの粘膜への暴露があると、その人は血液媒介病原体に感染したりする危険があります。

※血液媒介病原体:血液を介して感染する微生物には、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などがあります。


感染のリンク(鎖)


病原体:感染を起こす微生物
宿主:感染性微生物が生存する場所
感染経路:伝播する移行方法

従って医療機関で処置にあたる方が自分自身を守り、そして患者から別の患者への感染を予防することはとても重要です。この対策として『あらゆる人の血液、すべての体液、汗を除く分泌物、排泄物、損傷のある皮膚、および粘膜には感染性があると考えて取り扱う』という考えの、標準予防策です。


ここでは医療機関で行われる器具再処理における標準予防策の重要性から3点について紹介します。


①手指衛生


手指の衛生は、すべての医療行為の基本であり、感染予防として最も大きな役割を果たします。

  • 手指に目に見える汚れがあるときや、食事前、トイレの後は「石けんと流水による手洗い」
  • 手指に目に見える汚れがないときには、「速乾性擦式アルコール製剤による手指消毒」

②個人防護具


個人防護具の着用目的は次の3つです。

  • 医療従事者が患者から感染するリスクを減らす
  • 医療従事者の持つ微生物が患者へ伝播することを防ぐ
  • 患者から患者へ医療従事者を介して微生物が伝播することを防ぐ

③医用器具の洗浄・消毒・滅菌


正しい再処理方法を理解して、日々の医用器具のメインテナンス(洗浄・消毒・滅菌・保管)を行うことは院内感染予防のためにとても重要です。特に下記事項の予防・防止になります。

  • 患者や医療従事者の交差感染を予防する
  • 器具の破損、腐食、変色や精度・機能低下を防止する

使用後の器具は患者の血液や体液で汚染されているため、適切な処理が行われなければ次にその器具を使用する医療従事者や、器具で診察を受ける患者が感染する危険があります。
そのため医療機関では、標準予防策に従って適切な再処理方法をマニュアル化し、日々実践することが大切です。